ロボットみたい?独特なアスペルガーの歩き方はなぜ起こるのか
2017/06/04
アスペルガーの歩き方が変な理由
「アスペルガーの歩き方は、まるで機械的でロボットの様」とは、よく言われます。
しかし実際は機械的とは少し違いますね。どちらかと言えば、「常に緊張しながら、一歩一歩、確実に足を踏み出して歩いている。」といった感じです。
習慣となっているパターンの一つといえるかもしれません。特にそれが非常によくわかるのは、何かにつまづいて転ぼうとした時です。
その瞬間、バランスが非常に普通よりも悪くなるのが、見た目でもよくわかります。何か「歩こう」という意思に基づいて、歩いている感じです。
その感じが自然に見えないので、歩き方が「ロボットの様」と表現されるのでしょう。
これは、自閉症の方も似たような歩き方をすることがあります。
一種の”癖”に近いもので、アスペルガーの人は幼少期に自閉症の傾向が弱く、周囲がその発達障害に気が付かない場合が多いのです。
特に幼稚園や保育園では、シンプルな踊りや皆で単純に手を叩いたり、わかりやすい反復運動が多いですよね。
アスペルガーの人は、自分の「生理的に合うリズム」が独特で、周囲とは逆の方向で踊ったり、リズムがずれていても気が付いてないことがあります。
これは脳神経的な障害のせいでもあると言えるのですが、物事の雰囲気や流れを理解するのに、普通の人よりも遅延しがちなんですね。
普通は「先生を見ながら、真似る」という簡単なことでも、その行動を見て自分でイメージすることが苦手なんです。
上半身をまず「こうやる」と教え、次に下半身は「こうやる」と分けてあげると上手くいく場合もあります。
この「ルールを順序通りに覚えられない。」というのは、アスペルガーの一つの特徴です。
しかしながら習慣化した事は、固着性があるというか非常に正確に行うことが出来ます。
それでも、体を上下させながら、あるいは左右に体を揺らしながら一定の反復運動などは、習慣化して慣れた場合でも、最後まで残ってるので「癖」として身についていると言えます。
そのため、幼少期から行進というような、列に並んで歩くことは慣れているのですが、自由に気ままにぶらぶら歩くというような、ごく普通の歩行自体が、不自然になるのです。
幼少から、アスペルガーであると周囲も本人も、そうした対処をしている場合は、このような歩行は緩和されて自然に見える場合もあります。
そういう意味では「慣れ」なのか「癖」なのかは、実際にその人を教育した人でないと、ちょっと理解しずらいところがあるでしょう。
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アスペルガーの歩き方の特徴
「ゆらゆら動く」とかありますが、全身に力が入っている感じです。肩も上下して歩幅も大きく、早歩きなのも多いですね。
散歩でも自分の歩行リズムが先行し、一緒にいる人の前方を歩くことになるのが良くあります。
立ち止まるか、あるいは早歩きのどちらか2択しかない感じです。そして直線的に目的地に一目散にさっさと歩きます。
ウィンドウショッピングなどは、こうした「自分の習慣となった行進」という、幼少時代の集団生活の中でやっていた、訓練としての歩行しか慣れていないのです。
そして最大の特徴は、「常に同じルート以外を歩かない」という部分です。
学校から帰る時も、寄り道せずにとにかく直線的に、同じ道をたどって帰るような”癖”が身についているんですね。
アスペルガーは自閉症の分類に大別される、発達障害と言われています。
ただ、その概念がまだはっきりしておらず、診断でも強迫神経症などと誤診されることも多いです。
認知、言語やコミュニケーションなどの障害の定義も、国際的には2つに分類され、一方では自閉症、もう一方ではアスペルガーとして分類されることもあります。
国際的な分類では、「DSM-IVやICD-10」などと定義されていますね。
問題は、この国際定義とアスペルガーを「発達障害」としたイギリスのローナ・ウィングの提唱する認知、言語やコミュニケーションに加えて、独特の行動も合わさって表面化しているかどうかです。
従って、全てのアスペルガーの歩行が、「まるでロボットの様」とは限りません。しかし共通するのは”不自然さ”がはっきりしていることです。
散歩にも特徴がある
まずアスペルガーの人の歩き方は、大別して「癖」と「習慣」に分かれると言えます。
とは、”ずんずん歩き”のような、体を揺らしながらの一種の反復運動をする歩き方です。
これは自閉症にも見られるロッキングという、体を前後したり上下動をさせる歩き方です。
普通の目的地が無い散歩や、どこかの店に行くなど目的がある場合でも同じ動きをする場合は、アスペルガーの持つ障害の「癖」になります。
これは緊張に対しての過剰反応で、動作を繰り返す癖で、緊張を緩和させようといった感じになります。
一方で習慣とは、歩き方で「一定のルールを持つ」という事です。
例えばアスペルガーの場合、普通の人なら疲れたらエレベータを使うとか、エスカレーターなどを利用しますよね。
アスペルガーの場合は、一度階段と決めたら、行動は必ずどのような場合も同じになります。
この点が人から見ると「何かのこだわりを持っている」と思われる点です。実はこれも、「エレベーターに乗る」という行動は、
エレベーターが今どこにいるかを確認し、上下ボタンを選択し、ドアが開いたら”人が降りてから乗る”などの順序があります。
アスペルガーの人が、最も苦手とする状況判断がここにあります。
普通の散歩でも、「同じ道を同じ方向で、同じ角を曲がる」という習慣さえあれば、アスペルガーの人も歩行は、自分らしい歩き方で行くことが出来ます。
しかし、普通の人の生活は、途中で新しい店を見つけたり、ウィンドウに気を取られることは普通です。
こうした「反復ではない行動」に対して、アスペルガーは身構えなくてはなりません。
急な転回、あるいは立ち止まったり、速度が変わる歩き方には「習慣」が無ければ対処できないのです。
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どんなことでも”慣れ”が必要
まずアスペルガーの歩き方は、この癖と習慣という、2つの視点で考えると一緒に歩く人が適切に対処すれば、ある程度直していくことが出来ます。
それには、まず「癖」としてある、反復運動、体の動かし方や姿勢は、最初に直せるものではありません。
これはアスペルガーを障害として見た場合、緊張や周辺環境に対しての本人の「反応」だからです。
そこで歩き方自体を「習慣化」させます。これはまず歩き方を正しくしようとするのではなく、「ルールを作ってしまう」という事です。
道順やルートなどは、範囲を狭く、その中をぐるぐると回るだけとして始め、必ず1対1のペアでアスペルガーの人の歩き方のペースに合わせます。
それから道順に慣れたら、歩行スピードを一緒に歩く人に合わせてもらうのです。慣れた道であるなら、アスペルガーの人は緊張は弱まります。
こうやって、「道を歩く」という範囲を広くしていけば良いわけです。
小さい子供の動きから学ぶ方法
アスペルガーの人は、成人でも幼少期と同じ素養を持つ人が多いです。
「繰り返すこと」や「同じことを何度でも」というのは、小さい子供の典型的な行動です。
普通の子供の場合でも、道路の急な横断や、信号機を守るというのは、皆、義務教育で学ぶはずです。
そういった行動が交通安全に繋がるとか、自分の命を守れるというのは、後々になってからわかることです。
そのために、まず「大人を真似る」ことが幼少期の子供には必要でしょう。
アスペルガーの成人も同じで、行動が悪い良いの判断ではなく、「ルールに合わせる」という習慣が必要なんですね。
道を安全に歩けるには、交通ルールを守ると一応大丈夫だと思えるのと同じです。
その中であれば「自由に動いても問題が無い」と、子供は習慣として覚えて行きます。
アスペルガーの歩き方は、それが異常なのではなく障害があるがゆえに、慣れて何でも「習慣」に出来ないということから妙な歩き方になるんです。
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